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May 20, 2005

長崎市職員刺殺

 2日前に生活保護の仕事をしていたことに触れたばかりだが、今日、長崎市で生活保護担当の職員が刺殺される事件がおきた。他人事じゃないので書く。
 まず初めに、殉死された職員の冥福を祈りたい。
 事件の背景を語ると長くなるので先に自分の持つ現状認識を述べたい。現時点で私が参照しているソースは20日12時31分の読売新聞(YOMIURI-ONLINE)の記事である。

 容疑者はいわゆる「問題ケース」であろう。昨年3月に生活保護を打ち切られたとあるが、どんな元気な男性であろうと、68歳のまともな爺さんを「就労」を理由に保護廃止するなどありえない。保護基準を超える収入を得られる仕事など68歳から急に得られるようになる訳が無い。つまりはまともじゃない爺さんだったということだ。就労廃止は書類上の理由で、本当の廃止理由は別にあるのだろう。
 私が思いつく理由はいくつかあるが、ギャンブルまたは飲む金欲しさに、役所に内緒で年金担保で金を250万程借り、それを3ヶ月で使い切ってしまった、というあたりが良くあるパターンである。計画的に保護を受ける人間は大勢いて、たとえ月18万円の年金受給権を持っていたとしても、それを年金担保で250万円ほど前借りして散財してから、「生活費がありませんので年金担保が切れて受給権が回復するまで保護してください」といってくる輩がいる。もしくは、年金はもらっていない、といって申請しにくる。この場合でも、法律と厚生省の指導に従えば、今現在金がなくて生活できない限り、保護することになる。1度目は仕方が無いかもしれない。しかし、これを2度、3度続ける奴がいるのである。もうすぐ、年金担保が終わって、2ヶ月に1度36万円の年金が振り込まれるようになるから保護は廃止、としようと思った矢先に、「実はまた年金担保で金を借りた。金はギャンブル(借金返済)に使った。」などといい始めるのだ。この主張に対して、法律で抗う術は無い。何度も言うが、法に従えば、保護しなければならない。そこで、現場では現実的な対応をする。保護をあと1ヶ月継続するのと引き換えに、就労による保護辞退届なんかを書かせたりするのだ。しかし、それで丸く収まる訳が無い。しばらくして金が無くなると、再び区役所に表れて「保護しろ、金が無い!」と大声を出し始める。

 私の経験に基いて言えば、生活保護の相談担当の職員が刺されるということ自体は、不思議なことではない。また起きてしまったのか、という思いが強い。職員は常に危険にさらされている。私も相談業務中に、同和団体や右翼団体を名乗る男に大声で恫喝されたり、鉄製の灰皿を投げつけられたことがある。相談者がナイフを持っていたことももちろんある。珍しいことじゃない。先ほど私が思いつきで書いたような、道徳的には許せないこれらのケースに対して、あたりまえの倫理観で立ち向かうだけでも、職員は今回のような危険な目に遭ってしまうのが実情だ。

 生活保護日本国憲法の第25条(生存権)では、健康で文化的な最低限度の生活を全ての国民に保障している。生活保護法はまさに憲法25条に基づく制度であって、法の趣旨は崇高なものである。「最低限度の生活」については、厚生省が定めた積算基準で必要な生活費が計算され、現金で支給される。最低限度の生活をしていなければ理由の如何を問わずに保護の対象になる。これは、戦前の生活保護法に相当する救護法が29条で制限をつけていたことで運用上の問題があった反省などの経験に基いているのだが詳細は省く。

 話が冗長になったが、生活保護法は昭和25年に成立し、すでに50年あまりが経過した。戦後まもない、まだ日本が高度成長を迎える前にできたものだ。今、日本は経済的に豊になり、当時の生活レベルと現在の生活レベルは雲泥の差がある。価値観も変わっている。扶養義務に係る規定など現実に合わないことも多い。バブル崩壊後は、低所得者層の所得が伸び悩む中で、保護世帯のほうが物質的に豊かに生活できるような逆転現象も起こってしまった。厚生省は、高齢者加算や母子加算の見直しなど、ようやく小手先の対応は始めたところだ。現実には抜本的な法改正が必要な段階に来ているのだが、そこまで踏み込もうとはしない。いや、わかっていてもできない。何故なら、生活保護制度がすでに既得権益と化し、福祉を掲げる政党の支持基盤を構成するようになってしまっているからである。生活保護の相談をするのに、○○先生の紹介で来たといって窓口にくる相談者は多い。大人気ない私は「は?誰ですかその人」と知っていてもとぼけていたのだが。

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