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Feb 28, 2005

バラ色の未来図

 久しぶりに良い社説を読んだ。2月25日付の日刊工業新聞である。ヒートポンプというテーマの社説で、電力業界に対してさらなるアピールを提案しているもの。未来図として描かれることの多い「水素エネルギー社会」、そのリード役である「燃料電池」に較べて、ヒートポンプはあまりにも地味な存在である、と指摘している。

 確かに、その通りである。東京電力の「エコキュート」に代表されるヒートポンプのエネルギー効率は高く、都市ガスを燃料とする燃料電池と同程度かそれ以上であり、家庭で使う分にはなんら遜色はない。つまり、ヒートポンプを使おうが、燃料電池を使おうが環境負荷軽減の程度に変わりは無い。(ちなみに、燃料電池自動車の環境負荷もプリウスレベルのハイブリッド車なら差は無いので導入するメリットは無い。)つまり、現時点ではわざわざコストの高い燃料電池を導入する必要はないのである。燃料電池よりも価格の安いヒートポンプを普及させるほうが間違いなく効率的であろう。
 燃料電池も普及すればその分コストが安くなる、と思う人もいるかも知れないが、それは誤りで、技術的なブレイクスルーをもう一段階経なければ、それは克服できない。そういう意味では家庭用燃料電池の設置に高額な補助金を付けようとすることはガス会社やメーカーを肥らせるだけの捨て金になりかねない。

 しかし、大手マスメディアを見る限り、燃料電池を「夢の次世代エネルギー」などと響きの良い言葉と共に多用して技術的な課題やコストなど現在直面している問題点をスルーし、一般読者受けが良いバラ色の未来を描く報道が余りにも目立つ。記者のレベルが低く本当にそう思っているのか、大衆の無自覚な期待に迎合しようという意図なのか。燃料電池はエネルギー効率を良くするための手段であり、夢のエネルギーでもなんでもない。ヒートポンプやコジェネによる効率化と本質的な違いは無い、という基本を踏まえていただきたいと思う。
 兎に角も、燃料電池をはじめとした水素エネルギー社会に期待する人々が、金持ちになるために宝くじを買っているような「夢見る愚か者」に似ているように見えて悲しい。

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