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Dec 13, 2004

杉並病とイラク戦争

 「杉並病」という言葉をご存知だろうか。杉並区にある不燃ごみの中継施設の近辺の住民が身体の不調を訴え、原因は中継施設から排出される化学物質であるとして、都に1億円の賠償請求をしている事件である。今日の東京新聞で取り上げていたのをひさしぶりに見て、うんざりしたので書く。

 中継施設ができたころに更年期障害を向かえた女性の妄想が全ての発端である、という仮定を置いてみる。その妄想に便乗して賠償金を手に入れたい人たちと、票になると判断した区議会議員、役所を批判することがジャーナリズムだと勘違いしている私立文系大卒の無知な新聞記者がそれに拍車をかけた。

 中継施設はなんのためにあるのか。それは、車の台数を減らすためだ。23区の行政回収の不燃ごみは全て湾岸地域にある不燃ごみ処理施設へ運ばれている。しかし、ごみを直接集める収集車両は小さくて効率が悪い。たとえば、杉並区や練馬区あたりだと、午前と午後1度ずつ処理施設と往復するのがやっとで、そんな作業だとコストもかかるし、排ガスも増える。
 中継施設では、その収集車のごみをコンテナ車に積み替える施設である。これにより、7、8台分のごみを1台にまとめることができる。作業効率も上がるし、車の台数も少なくて済む。ムダに公務員を雇わなくて済む。

 原告の方々は、ごみを積み替えるときに発生する化学物質が原因としているが、結局のところ、原因物質などは特定されていない。そりゃ、そうだ。妄想なんだから。新宿区などにもある他の中継施設ではそんな症状を訴える人はいない。中継所で働いている職員にもそんな症状は無い。原告の方々は、環八と新青梅街道の交差するこの地域において、自動車の排ガスではなくて中継施設が原因だなどと何故確信できるのか。ヒゲが生えてきた女性は更年期障害だと何故自覚できないのか。

 しかし、原因となる化学物質が存在しないことを証明するのは論理的に不可能である。話は飛ぶように聞こえるかもしれないが、ブッシュ大統領はイラクが大量破壊兵器を持っているとしてイラク侵攻を開始したが、無いことを証明するなんて不可能なんだから、アメリカが戦争をしたかった以上、避けようがない。杉並病も同じ。訴えたい人がいるかぎり解決はしない…と書きたいところだが、実は 杉並中継所は9年後に廃止されることになっている。山田区長という松下政経塾出身の政治屋が、1年前に、10年後に廃止すると宣言したからだ。

 中継所を廃止したらどうなるのか。ごみ量が現状のままだと、杉並、練馬、中野区のごみ収集車を増やし、職員を増やさなければならない。排ガスは増え、自動車公害は悪化する。しかし、山田区長は9年後には市民派区長の実績を掲げて国政に復帰している予定(でしょ)なので、そんな先のことに責任は持たないだろう。

 でも、ここでもう一つ「実は」の話なのだが、近いうちに廃プラスチックは燃やすことになる可能性が高い。廃プラスチックをそのまま埋め立てているのは札幌、23区、名古屋くらいなのだから。そのまま埋め立てると浸出水の汚水処理などで数十年の管理が必要になる。それよりは、燃やして熱エネルギーとして回収したほうが良い。すでに、環境のためには燃やすべし、という国の方針が今年示されている。プラスチックを燃やすと騒ぐ環境オタクがいるのが当面の問題であるが。
 そうなると、不燃ごみは金属や瀬戸物類となるので、量は少なく中継所はいらなくなるかもしれない。山田区長がそこまで考えていた訳ではないと思うけど。

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